『絶対可憐チルドレン』1巻感想
※ネタバレありのため、未読の方はご注意ください。
突然ですが、みなさんはこういうことを考えますか?
「あのキャラってどんな子供時代を送ったんだろう?」とか「このキャラはあのキャラのこういうところを好きだなって思ってそうじゃない?」とか言うたびに「そんなこと考えたこともなかった」ってきょとんとした顔をされるんだよ… オタクじゃない人は考えないの…?— ムグラシ (@fkgwfkgw) August 11, 2018
私はめちゃくちゃ考えます。
むしろこういうことばっかり考えていると言ってもいいぐらい…。
漫画やドラマのキャラクターの内面とか生い立ちとか、考えるの大好き&大好きです。
なぜなら、オタクだから(*‘∀‘)笑
そして、こういうことを考えるのが好きだから!✨
私と同じく「めちゃくちゃ考えるよ!!」と感じた方には、おそらく『絶対可憐チルドレン』は「刺さる」と思います。
人間は神様じゃないので、絶対に「完璧」にはなれないし、どんなに努力しても届くことはないですよね。
それでも「理想」を求めてもがいて苦しんで、その過程で嬉しいことも涙もたくさんのことを経験して、生きていくのが人生であり、人間です。
そんな人間ならではの「もどかしさ」というか「揺らぎ」というか…。
そうしたものが、『絶対可憐チルドレン』にはたくさん描かれています。
主人公の「チルドレン」は幼い少女3人ですが、「超度7」という人類最高レベルの超能力を持っています。
その気になれば世界征服もできるレベル!!
それを支える皆本さんは、超能力こそ持っていませんが超天才で指導力があり、非常に優しい男性。
高い能力を持つがゆえに「世間」に溶け込めず、意地っ張りな性格になってしまった「チルドレン」3人娘を時に優しく、時に厳しく導きます。
私が大好きな兵部京介少佐(※3巻で初登場)、蕾見不二子管理官(※6巻で初登場)に至ってはもう「チートキャラ」もいいところで、スペックは「漫画か!」と言いたくなるぐらいに(?)盛り盛りです。
スペックで言ったらほとんどのメインキャラが「普通」ではありませんが、彼らの”心”は「普通」そのもの。
凡人の自分と同じく、悩み、傷つき、自分のできることと理想のギャップに苦しみ、それでも未来に向かおうと頑張る彼らに終始共感しまくり、感情移入しまくりでした。
逆に「(コンプレックスや過去の傷から)頑張れない」キャラもいたりして、それも良い。
1話を読んで最初に心を動かされたのが「ギュッ」のシーンでした。
「チルドレン」の一人である紫穂ちゃんは世界最高レベルのサイコメトラーであり、触れた人・ものの情報を全て読み取ることができます。
そんな彼女ですから、物心ついた頃から「世間」「人間」の醜さを知っています。
「こんな能力だから、世界がおとぎ話じゃないことはもう分かってる」とは、彼女自身の言葉です。
そんな紫穂ちゃんの手を、皆本さんは何のためらいもなく自分から「ギュッ」と握るんです。
「特別なことをしてる」感もみじんもなく、ごくごく自然に。
読んでる読者も心を「ギュッ」とつかまれましたよね。
紫穂ちゃん、嬉しかっただろうなぁ…。
これは、皆本さんのこと大好きになるよね。
このシーンだけで「皆本さんがどれだけ優しい人であるか」「態度はツンツンしてても、紫穂ちゃん(チルドレン)が皆本さんを信頼していること」が伝わってくるの、すごいですよね。
http://cnanews.asablo.jp/blog/2013/02/08/6715322
「身近な子供を伸ばすこと、守ることだけは絶対に普遍の正義」私もそう思います。
『絶チル』は、子育て中の方・子どもと関わるお仕事をされてる方にも良いヒントがたくさんある作品なんじゃないかなあとも…。
椎名先生が「さらにそこに自分自身の不器用さへの肯定を込める」というお気持ちで描かれていたというのも…すごく腑に落ちました。
『絶チル』を読んでいて、私自身「自分の不器用さが肯定されている」感覚を何度も覚えました。
実際には私じゃなくて、作中のキャラクターが他のキャラクターに受容され、愛と肯定を受けているんですけど。
『絶チル』は各キャラクターの内面描写がとても丁寧な作品なので、読んでいるうちにキャラクターにどんどん感情移入してしまうんです。
だからキャラクターの「不器用さが肯定されている」光景を読んでいる私も「自分の不器用さが肯定されている」ように感じて、心がじんわり温かくなるというか…。
子育て中の方・子どもと関わるお仕事をされてる方はもちろん、「自分の不器用さ・コンプレックス・過去の傷に苦しんでいる」方にも強くオススメできる作品です。
高橋留美子先生はじめ、多くの方が『絶チル』を育ててくださったこと、『絶チル』ファンの私も感謝の気持ちでいっぱいです!☺✨✨
そして大の高橋先生ファンの椎名先生なら、高橋留美子美術館の館長も務まるでしょうね(*‘∀‘)笑
誤解があるようなので説明しますが、キャラクターの内面を解釈して統合された人格を造形するというのは、ストーリーテラーの基本的なスキルです。そして人間には多面性や矛盾があるのが普通で、でもそれは内面ではツジツマ合っているはずです。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) March 17, 2012
お話は作り物なので、ときどき現実とは違う矛盾もあります。そういう部分はあとで分析して埋めたりもします。うまく埋まれば納得が行きます。自分の作品でもそうやってキャラを掘り下げて行きます。他人の作品ならそうやってキャラに親しみます。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) March 17, 2012
埋めていくためのツールとして、ワタシは基本的にコンプレックスを使います。どのようなコンプレックスがキャラの心にバイアスをかけるかを考え、行動原理のツジツマを理解するわけです。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) March 17, 2012
↓こちらのコナン話の流れで投稿されていたツイートですが、椎名先生の創作論としてとても興味深いですね。
https://togetter.com/li/274937
http://cnanews.asablo.jp/blog/2012/03/18/6380953
A「秘めた恋心発見――(゚∀゚)――!!」
B「秘めた恋心に良く似たもの発見――(゚∀゚)――!!」
AとBはビミョーに違う。
↑オタクとしてとてもわかりみが深いですw
いろいろな感情がお互いの関係の中で、増幅されたり癒されたりするところにドラマがある、そしてそこには(究極的には)性別は関係ない…というのもよく分かるなあ。
漫画にせよ映画にせよドラマにせよ小説にせよ、そうした「関係性」を楽しむことも『物語』を味わう醍醐味とも言えますよね。
読者の方にたくさん慰められるのだけど、私は自分の漫画がつまらないとは思ってない。ただ、漫画読みとして「ジャンルを変えるほどのインパクトがある才能」というのは見ればわかる。良くも悪くも自分にはないが、それを持ったバケモノと同じ土俵で生きてくのは覚悟がいるってこと。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
作り手が「自分たちの在り方を変える」ものを高く評価するのは、どのジャンルでも同じじゃないかしら。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
あと周囲からの評価と、作り手として自分の理想にどれだけ応えたかもちょっと別。たとえばアニメにしてもらえると周囲の評価・作品の知名度が上がり大勢にキャラを愛してもらえて素晴らしい。でもアニメが面白かったのはアニメスタッフが偉いからで、私の場合自己評価じたいはさほど上昇しない。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
でも私の場合、アニメの手柄も遠慮なく作品を盛り上げる武器にはさせてもらう。さっき言ったような本物の天才たちと肩を並べるためには全力を使わないといけないし、自分にできることは全部するのが漫画というジャンルに対しての礼儀というか。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
描かない人はどうもモノを作るという仕事にも「勝敗」があると思っているフシがあるのだけど、スポーツじゃないから明確な勝敗はない。一線にいるクリエイターの多くは他人の才能の素晴らしさを愛してて、常に「負け」を感じながら自分をいまよりマシにしていこうとしてるんじゃないかしらね。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
「誰かのモーツアルトは誰かのサリエリ」っていうリプをもらって、それは的確だし面白いと思ったよ(笑)。そういうことの積み重ねでジャンルは豊かになっていくのだと私は思います。おわり。— 椎名高志 (@Takashi_Shiina) July 20, 2021
なんて正直な。
椎名先生のこういうところ、私は大好きです。
なんというか、「表現者」としてとても率直で誠実な方だなと思います。
長々と書きましたが、こんな方に『絶チル』はオススメです!
・「超能力」「美少女」「過去と未来」「予知」というワードに惹かれる
・漫画やドラマのキャラクターの内面や生い立ちを考えるのが好き
・子育て中の方
・子どもと関わるお仕事の方
・自分の不器用さ・コンプレックス・過去の傷に苦しんでいる方
そしてもちろん、
・シンプルに「面白い物語が読みたい!」という方
『絶対可憐チルドレン』はそんなみなさまの期待に見事応えてくれる作品だと思います。
全63巻と大長編ですので、最初に読むまでが覚悟?がいるかもしれませんが…きっと読み始めたら一気に全巻読んでしまうはず!
ご興味ある方、ぜひぜひお読みください(*’▽’)✨✨
最後までお読みくださり、ありがとうございました!💕☺
↓こちらで3話まで無料で読めます!
名作ですので、ぜひ〜😆📖💕
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絶対可憐チルドレン(1) (少年サンデーコミックス)
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『絶対可憐チルドレン』全巻はこちら↓📖✨
https://csbs.shogakukan.co.jp/book?book_group_id=305
椎名作品・椎名姫の「本質」
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ふんわりと語る『椎名姫』感想 ~十一ノ章 血族~
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